スポーツジムに通われている方であれば、インクラインベンチを一度は目にしたことがあるでしょう。インクラインベンチは角度を変化させることができ、幅広いトレーニング種目に使われる道具です。
そこで今回は、そんなインクラインベンチの使い方について、現役のパーソナルトレーナーが詳しく解説していきます。「インクラインベンチは見たことあるけど、使い方がいまいち分からない」「インクラインベンチでどんなトレーニングができるのか教えてほしい」といった方々は、ぜひ最後まで読んでください。
目次
インクラインベンチとは。使い方
傾斜をつけられるベンチ
それでは早速、インクラインベンチがどういうものなのか簡単に説明していきます。インクラインベンチとは、一言でいうと傾斜をつけられるベンチのことです。
だいたいフラットな状態から15~20度ずつ傾斜を設定できるものが多く、最大で90度まで傾斜をつけられます。ベンチによっては、フラットな状態から逆に角度を落とせるものもあり、種類は様々です。
トレーニング種目に応じて角度を調整する
続いて、インクラインベンチの使い方についてですが、こちらはベンチを固定しているレバーを引き、それぞれの角度ごとに穴が空いているので、好みの角度の穴にレバーを合わせて固定します。
「どれくらいの角度に調整すればよいか分からない」と思われる方も多いでしょうが、これはトレーニングの種目に応じて角度を調整します。インクラインベンチを使った代表的なトレーニングを次にご紹介していきますので、参考にしてください。
インクラインベンチプレス
インクラインベンチを使った代表的なトレーニングと言えば、まずインクラインベンチプレスが挙げられます。こちらは大胸筋(胸の筋肉)の上部を主に鍛えられるトレーニングで、女性であればバストアップしたい方におすすめです。
具体的なやり方は以下の通りです。
・ベンチの角度を30度程度に調節する
・ベンチに体をつけて、肩甲骨を寄せるイメージで胸を張る
・肩幅よりもやや広めにバーを握り、バーをラックから外す
・息を吸いながらバーを下げ、胸にバーが軽く振れたら、息をフーっと吐きながら押し返す
・この時に胸の張りが抜けないように注意する
・10回×3セットを目安に繰り返す
デクラインベンチプレス
インクラインベンチの中には、フラットな状態から逆に角度を下げられるものがあります。このように角度が下がった状態をデクラインと呼びます。
そんなデクラインベンチの状態で行う代表的なトレーニングが、デクラインベンチプレスです。インクラインベンチプレスが大胸筋の上部を鍛えるトレーニングなのに対し、デクラインベンチプレスは大胸筋の下部を主に鍛えることができます。
こちらの動画ではダンベルを使ったデクラインベンチプレスを解説していますので、ぜひ参考にしてください。具体的なやり方は以下の通りです。
・ベンチの角度をフラットな状態から15度程度下げる
・体をベンチにつけ、ダンベルを持ち上げる
・肩甲骨を寄せるイメージでしっかりと胸を張る
・息を吸いながらゆっくりとダンベルを下げ、胸をストレッチする
・胸にストレッチ感を感じたら、息をフーっと吐きながら押し返す
・10回×3セットを目安に繰り返す
バーベルショルダープレス
最後に、インクラインベンチを使ったバーベルショルダープレスをご紹介します。こちらのトレーニングでは三角筋(肩の筋肉)を主に鍛えることができます。
肩の筋肉をトレーニングすると、女性であれば体がくびれて見やすくなるので、ぜひ試してみてください。具体的なやり方は以下の通りです。
・ベンチの角度を90度程度に調節する
・ベンチにしっかりと背中をつける
・肩幅よりもやや広めにバーを握り、ラックから外す
・息を吸いながらバーを下げ、バーが顎の下あたりまで来たところで、息をフーっと吐きながら押し返していく
・10回×3セットを目安に繰り返す
ベンチプレスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【ベンチプレスに関する参考記事】
ダンベルを使ったインクラインベンチプレスの方法
ベンチの角度は30度程度に調節する
インクラインベンチを使ったベンチプレスには、バーベルの他にダンベルを用いて行うインクラインダンベルプレスというトレーニングもあります。こちらではそんなインクラインダンベルプレスの正しいやり方について解説していきます。
具体的なやり方は以下の通りです。
・ベンチの角度を30度程度に調節する
・ダンベルを持ち上げて、肩甲骨を寄せるイメージでしっかりと胸を張る
・息を吸いながらダンベルを下げ、胸をストレッチする
・胸にストレッチ感を感じたら、息をフーっと吐きながら押し返していく
・この時に胸の張りが抜けないように注意する
・10回×3セットを目安に繰り返す
しっかりと胸を張ることが大事
インクラインダンベルプレスを行う上でよくある間違いが、動作の途中に胸の張りが抜けてしまうことです。胸の張りが抜けてしまうと、腕や肩の筋肉に負荷が逃げてしまい、胸の筋肉への刺激が弱くなってしまいます。
ダンベルを持ち上げることだけでなく、しっかりと胸を張り続けることを意識しましょう。
回数の目安は10回×3セット
これから初めてインクラインダンベルプレスを行う方であれば、どれくらいの回数を目安にすれば良いか悩んでしまうでしょう。そんな方におすすめしたいのが、10回×3セットの組み方です。
具体的には、10回×3セットをギリギリ行える重さで負荷を調節し、もし10回×3セットが無事にクリアできたら、次のトレーニング時には少しだけ重量を増やします。これを繰り返していると、どこかのタイミングで10回×3セットがクリアできない時がきます。
その時は、次のトレーニング時にもう一度だけチャレンジし、それでもダメだったら少し重量を落とすのです。このようにして10回×3セットをギリギリで行える負荷を見極めることで、筋肉の発達を促すことができます。
メインセットの前にはストレッチとウォームアップ
インクラインダンベルプレスに限った話ではありませんが、トレーニングを始める前には必ずストレッチとウォームアップを行なってください。特に普段がデスクワークの方は、胸の筋肉が硬くなりやすく、ストレッチなしでトレーニングすると怪我する可能性が高まります。
具体的な胸のストレッチ方法は以下の通りです。
・立った状態で壁に片手を肘までつける
・壁につけた手と反対方向に体をねじる
・この時に、壁につけた側の胸の筋肉がストレッチされるのを感じられればOK
・ゆっくり呼吸しながら30秒キープする
・逆側も同様に行う
ストレッチ後には、いきなりメインの重量を扱うのではなく、メインセットの3分の1程度の重量でウォームアップを行うようにしてください。そうすることで、筋肉も温まり、可動域が広くなってトレーニング効果も高まるでしょう。
【ショルダープレスに関する参考記事】
インクラインベンチの角度ごとの効果の差とは
デクライン(頭が胸よりも下にある状態)だと大胸筋下部に刺激
インクラインベンチは様々な角度に調節することができますが、角度によってどのような効果の違いがあるのでしょうか。こちらではインクラインベンチで行われることの多いプレス系(ダンベルなどを押す)トレーニングでの違いを解説していきます。
まず、頭が胸よりも下にあるデクラインベンチ状態の場合、大胸筋の下部に刺激が多く入ります。大胸筋下部は胸の筋肉の中で最も大きな体積を占めるので、ここをしっかりトレーニングすることでバストのボリュームアップにつながります。
フラットな状態だと大胸筋中部に刺激
続いて、平らなフラットベンチ状態の場合ですが、こちらでは大胸筋の中部に刺激が入りやすいです。女性であれば、大胸筋中部をしっかりトレーニングすることでバストアップの効果が期待できます。
インクライン(頭が胸よりも上にある状態)だと大胸筋上部に刺激
次に、30度程度角度をつけたインクラインベンチでのトレーニング効果を解説します。こちらでは、主に大胸筋上部に刺激が入りやすいです。
大胸筋上部をトレーニングすることで、こちらもバストアップ効果が期待できるでしょう。
インクラインベンチが90度程度になると三角筋(肩の筋肉)に刺激
続いて、ベンチの角度を90度程度まで起こした場合のトレーニング効果について解説します。このように最大限までインクラインベンチを起こしてトレーニングすると、胸より三角筋と呼ばれる肩の筋肉に刺激が入りやすくなります。
「肩の筋肉を鍛えてどうなるの?」と疑問に思われる方も多いでしょうが、肩の筋肉は上半身の中でも一番上に位置する筋肉なので、ここを鍛えることでウエスト部分とのギャップが生まれ、体がくびれて見えやすくなります。また、肩の筋肉は上半身の中で最も体積が大きな筋肉なので、このような大きな筋肉を鍛えることで消費カロリーが高くなり、ダイエット効果も期待できるでしょう。
徹底比較!インクラインベンチのおすすめランキングTOP5
第1位 FIELDOOR インクラインベンチ
ここまで読まれた方の中には「インクラインベンチを買って、お家でもトレーニングしたい」と思われた方もいらっしゃるでしょう。そんな方向けに、インクラインベンチのおすすめTOP5をご紹介していきます。
さっそく第1位の商品ですが、これは「FIELDOOR インクラインベンチ」です。こちらのインクラインベンチは、バックシートの角度は8段階、座シートの角度は4段階と細かく調節することができるので、自分の体型や柔軟性に合ったトレーニングが可能です。
また、ベンチの座面高が40cmと比較的低めに設計されているため、女性でもトレーニング中に足を踏ん張りやすく、体幹部を安定させやすいでしょう。カラー展開も落ち着いた2色から選べるので、お部屋にも馴染みやすいです。
第2位 LEADING EDGE マルチポジションベンチ
続いて第2位の商品ですが、こちらは「LEADING EDGE マルチポジションベンチ」です。こちらの商品はプロのトレーナーが監修して設計されており、トレーニング初心者から上級者まで安心して使うことができます。
インクラインベンチだけでなく、デクラインベンチにもなるので幅広いトレーニングに対応してくれます。フラットベンチ状態では3点支持フレームが採用されているため、重たいダンベルを持ったトレーニングもしっかり安定して行うことができるでしょう。
第3位 Wasai インクラインベンチ
続いて第3位の商品ですが、こちらは「Wasai インクラインベンチ」です。こちらの商品の特徴は、なんと言っても折りたたみ可能であるということです。
お家にインクラインベンチを置くと、トレーニングしない時にも場所をとってしまうので、頭を悩ませる方が非常に多いです。その点、こちらのインクラインベンチは折りたたみ可能なので、トレーニングしない日はコンパクトに収納することができます。
また、組み立て不要な点も女性には嬉しいポイントでしょう。工具などがなくてもトレーニングを開始することができます。
ベンチの角度は30度ずつ4段階に調整可能です。
第4位 BODYCRAFT インクラインベンチ
次に第4位の商品ですが、こちらは「BODYCRAFT インクラインベンチ」です。こちらの商品には、人間工学的にデザインされた高級シートが採用されており、重たいダンベルを持っても体が痛くならず、正しいフォームを維持してトレーニングできます。
また、バックシートの高さを調節することができるので、自分の体型に合ったポジションでトレーニング可能です。シートの角度はフラットな状態から85度まで6段階に調節できます。
足を引っ掛けられるバーがついているため、腹筋トレーニングなども行いやすいです。
第5位 Wasai マルチベンチ
最後に第5位の商品ですが、こちらは「Wasai マルチベンチ」です。こちらの商品にはバックエクステンションシートがついているため、ダンベルプレスなどのトレーニングだけでなく背中やお腹などのトレーニングも行うことができます。
幅広いトレーニングに興味をお持ちの方におすすめです。バックシートの角度は4段階、座シートの角度は3段階に調整できます。
インクラインベンチは自作できる?簡単にできる代用品とは
頑丈な椅子を使う
ここまでおすすめのインクラインベンチをご紹介してきましたが、中には「家にあるものでインクラインベンチの代用はできないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。結論からお伝えすると、頑丈な椅子と厚手のクッションを使えば可能です。
具体的には以下のように代用します。
・頑丈な椅子に浅めに腰掛け、少し斜めになるように背もたれにもたれかかる
・腰のあたりに厚手のクッションなどを敷き、体を安定させる
上記のように行えば、家庭にある代用品でインクラインベンチを自作することができます。ただし、言うまでもなく市販されているインクラインベンチと比べると安全性が著しく低下するため注意が必要です。
例えば、トレーニング中にクッションなどが滑ってしまい、体幹部が不安定になったり、椅子がダンベルなどの重さに耐えられなかったり、といったケースが考えられます。このような安全面の低下は、大きな怪我にもつながりかねないため、やはり市販のインクラインベンチを購入するか、スポーツジムなどでトレーニングすることをおすすめします。
インクラインベンチを使って腹筋を鍛える方法
レッグレイズ
インクラインベンチをうまく活用すれば、腹筋トレーニングも行えます。まず一つ目にご紹介するのがレッグレイズです。
レッグレイズでは、主にぽっこりと出た下腹を引き締めることができます。具体的なやり方は以下の通りです。
・ベンチの端にお尻を合わせて寝転ぶ
・両手でベンチのサイドを握り、足を持ち上げる
・膝を伸ばした状態で、息を吸いながらゆっくりと地面に向かって足を下ろす
・この時に腰が反らないよう注意する
・両足を体と平行な位置に来るまで下ろしたら、息をフーっと吐きながら持ち上げていく
・10回×3セットを目安に繰り返す
キツくてなかなか10回もできないという方は、膝を曲げた状態で行ったり、ベンチの角度を45度程度まで起こした状態で試してみてください。また、動作中に腰が痛くなったらすぐに中止しましょう。
【腹筋のトレーニングに関する参考記事】
クランチ
次にご紹介するのが、クランチという腹筋トレーニングです。クランチでは主に腹筋の上部を引き締めることができます。
具体的なやり方は以下の通りです。
・床に寝転んだ状態でベンチの上に足を乗せる
・息をフーっと吐きながら、腰を丸めるイメージで上体を起こす
・この時、上体を完全に起こしきる必要はなく、背中が地面から少し離れる程度でOK
・息を吸いながら、ゆっくりスタートポジションに戻す
・10回×3セットを目安に繰り返す
慣れてきた方は、通常のクランチだけでなく動画で紹介されているような体をねじるクランチも並行して行うと、横腹や腰肉の引き締めに効果的です。また、1セットあたりの回数も少しずつ増やして強度を高めていきましょう。
中古品や業務品としてインクラインベンチを扱うサイト
ヤフーオークション
自分に合ったインクラインベンチを自分で選びたいという方向けに、インクラインベンチの中古品や業務品を扱うサイトをご紹介します。まず最初におすすめしたいのが、ヤフーオークションです。
ヤフーオークションはご存じの方も多いでしょうが、中古品や新古品を主に扱うオークションサイトです。2019年10月現在では約80点のインクラインベンチがオークションに出されており、うまくいけば高品質なインクラインベンチを格安で手に入れることもできるでしょう。
掘り出し物を見つけたい方におすすめのサイトです。
楽天
続いてご紹介するのが楽天です。楽天は普段から利用される方も多いでしょう。
楽天では、パーソナルジムなどに置かれている高品質なインクラインベンチから、自宅でトレーニングしたいという方向けの手頃なものまで幅広く取り扱っています。2019年10月現在では約300点の商品が掲載されているので、きっと自分に合ったインクラインベンチを見つけることができるでしょう。
まとめ
インクラインベンチは比較的自宅に置きやすいトレーニング道具の一つで、お家でトレーニングしたい方に特におすすめします。本記事ではプレス系のトレーニングを中心にご紹介しましたが、ダンベルとインクラインベンチがあれば、ほぼ全身をトレーニングすることが可能です。
これから筋トレを始めたい方の第一歩にぴったりの道具だと言えるでしょう。正しい使い方やおすすめのインクラインベンチは、ぜひ本記事を参考にしてください。
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