毎日少なからず使用する階段ですが、階段をダイエットに活用することでただの移動も有効活用できます。意識を変えることで、下半身を中心とした筋肉に対して、負荷を与えることができ効率的なダイエットを行うことができます。
ここでは階段を利用した下肢の筋トレやダイエット方法を消費カロリーなどについて、ご紹介していきます。普段エスカレーターやエレベーターに目が行ってしまう方も、必要な器具やジムに行く必要はありませんので、今日から始めてみましょう。
目次
階段の昇降で使う筋肉
階段昇降は足関節・膝関節・股関節の筋肉を強調的に使い遂行していきます。
昇る動作では主に股関節伸展筋を使用し、降りる動作では主に膝関節伸展筋を用います。これらの動作による主動作筋の使用量は異なりますが、階段昇降では主に以下のような下肢の筋肉を中心に使うことができます。
階段昇降で使う下肢の筋肉
・大腿四頭筋(大腿前面に走行し、膝を伸ばす作用を持つ筋肉)
・ハムストリングス(大腿後面に走行し、膝を曲げる作用を持つ筋肉)
・腸腰筋(股関節の前面に走行し、股関節を曲げる作用を持つ筋肉)
・大臀筋(お尻の位置し、股関節を伸ばす作用を持つ筋肉)
・下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋を合わせた総称。ふくらはぎの筋肉で、足関節を下に曲げる作用を持つ筋肉)
上記のような筋肉を使用しますので、これらの筋肉のトレーニングが可能となります。
体幹筋も活動することが出来る
階段昇降は主に下肢の筋肉を使用していきますが、下肢の筋肉が効率よく働くためには、体幹筋の安定性が不可欠となります。そのため体幹前面を走行する腹筋群や後面を走行する背筋群などめ働く必要があります。
これらのことから、階段昇降は下肢の筋肉のみならず、体幹筋などの収縮も得られる全身運動となります。
家やマンション、駅の階段で筋トレをする方法
身近な階段を使用して筋トレをしていく際のポイントは以下のようなことが挙げられます。
無理をしない
過剰に疲れていたり、眠いときには無理をしないことが大切です。はじめから筋肉がつくわけではなく、継続することで筋肉に刺激が入り、少しずつ筋肉がついてきます。また筋肉のみならず心肺機能も少しずつ向上していきますので、最初はマンションの1階分や電車での通勤・通学の行きだけ階段を利用するなど、注意しながら行っていきましょう。
お尻・太腿・ふくらはぎを意識する
なんとなく階段を登るのではなく、身体のどこにトレーニング効果を感じているか意識しながら行うことをオススメします。特に階段の昇りではお尻とふくらはぎ、階段の降りでは太腿のトレーニングとなります。使用している筋肉を意識することで、より効果的なトレーニングとなりますので、意識して階段昇降してみましょう。
体幹を意識する
階段昇降する際、上半身がブレないように体幹を意識して行いましょう。下肢の筋トレが中心になりますが、下肢の効果的なトレーニングをするためには体幹の安定性が不可欠となります。お腹を意識して、力を入れながら行なっていきましょう。
階段で筋トレをするとどういった効果で健康になるのか
階段は日常的に存在するトレーニング器具と言っても過言ではありません。ここでは階段昇降と健康についてご紹介致します。
基礎代謝の向上
階段昇降は下肢・体幹の筋力トレーニングとして有効です。階段昇降の負荷が下肢筋を刺激して筋肉量を向上させます。筋肉量が増えるとその分エネルギーが必要となるため、基礎代謝が向上することになります。基礎代謝は痩せやすい身体づくりにおいても大切であり、特に階段昇降では下半身痩せが見込めます。
心肺機能の向上
階段昇降はジョギングと同等の程度の負荷を身体に与えます。正常歩行と比べて約5倍程度の血流量が必要となり、その供給を満たすべく、心臓の活動が高くなります。多くの血液が身体に行き渡ることで、多くの酸素を身体に運び、新陳代謝があがります。身体の疲労物質を体外に排出することも階段昇降の大きなメリットの1つと言えます。
脚の筋肉を刺激して足痩せ効果
階段昇降は下肢に負荷を与えることができます。普段運動していない方では、下肢の筋肉は徐々に弱くなり、筋肉が細くなっていきます。細くなった分、脂肪や老廃物をため込み、結果的に足が太くなります。階段昇降を行うことで下肢の筋肉を刺激して筋肉を強くし、脂肪などをため込まないようにしましょう。
階段を一段飛ばしで昇ったときに使う筋肉
階段を一段飛ばしで登った時には一段ずつ昇る時と比べて脚を高くあげること、高いところに昇ることがポイントとなります。
脚を高く挙げる筋肉
股関節を高く上げる動作では特に腸腰筋が使われます。腸腰筋は腰椎から大腿骨に付着している筋肉で、身体の前面を走行しています。身体の深部に位置することからインナーマッスルと呼ばれており、腹部のインナーマッスルと協調して働きます。腸腰筋が収縮することで股関節は高くあがり一段飛ばしに対応することできます。
高いところに昇る筋肉
一段高いところに昇るためには股関節伸展筋が強くないと行うことができません。特に大臀筋というお尻の筋肉の活動が大切となります。大臀筋は腸骨から大腿骨に付着し、身体の後面を走行しています。一段高いところに上がるためには、大臀筋の強い収縮が必要となります。
強い収縮を得るためには体幹の安定が不可欠
股関節を強く曲げる・伸ばすためには骨盤・腰椎の安定性が不可欠となります。強い収縮力に骨盤や腰椎が引っ張られ不安定になってしまうと筋力が思い通りに発揮されないことに加え、腰痛の原因となってしまいます。一段飛ばしで階段昇降する際は腹部を引き締め、安定した体幹を意識しましょう。
階段の昇り降りでお尻を鍛える方法
お尻の筋肉とは
お尻の筋肉は主に臀筋群と呼ばれています。中臀筋や大臀筋など骨盤と大腿骨を結ぶ筋肉のことを指します。中臀筋は股関節外転(外に開く)動作に作用し、大臀筋は股関節伸展(脚を後ろに引く)動作に作用します。
階段昇降での臀筋群の働き
階段昇降動作では中臀筋において骨盤の平行を保つバランスを保つ役割を担います。大臀筋では特に昇り動作において、上の段に昇るための主動作筋としての役割を担います。
上記のことから階段昇降でお尻を効果的に鍛えるには昇り動作での臀筋群の活動が大切になります。階段を昇る動作とと降りる動作では、昇る動作において大臀筋の活動が上昇します。この動作特性を理解してお尻トレーニングに活用していきましょう。
効果的に臀筋群に負荷を与えるコツ
臀筋群は骨盤から大腿骨を結ぶ筋肉です。そのため骨盤の傾きにより筋活動が変化します。
より臀筋群を働かせるためには、骨盤を前傾位で保ちながら階段を昇ることです。骨盤が後傾してしまうと臀筋群が緩み、筋活動を上昇させることができません。
上記のように骨盤の傾きに注意しながら、効果的にお尻トレーニングをしてみましょう。
階段の昇り降りでお腹を鍛える方法
階段昇降動作は主に下肢の筋活動が高く、下肢のトレーニングとして有効ですが、下肢の筋力を確実に発揮するためには、お腹の筋肉の活動が大切となります。
階段昇降でなぜ腹筋の活動が必要か
階段昇降動作を分解していくと、負荷量は異なりますが、片脚でのスクワットと類似した動作となります。片脚スクワットは片方の足底の上に重心を乗せて行う必要がありますので、上半身の重心が同様してしまうと、うまく行うことができません。そこで上半身と下半身を繋ぐ腹筋の活動が不可欠となります。腹筋をしっかり働かせることで、重心動揺を抑え、安定した階段昇降動作を実現できます。
階段昇降で腹筋を働かせるためには
効果的に腹筋を働かせるためのポイントは2つあります。1つ目はお腹を凹ませるよう意識することです。ドローインのようにお腹を凹ませることで腹圧が上昇することができます。
2つ目は背筋を伸ばすことです。腹筋群は重力に対して働きますので、お腹に対してまっすぐ姿勢を正すことで、重力に対して腹筋群が活動します。このように腹筋群は階段昇降動作でも大切な役割を担っています。
上記のことを意識しながら、階段昇降でお腹のトレーニングを行ってみましょう。
階段の昇り降りでふくらはぎを鍛える方法
ふくらはぎの筋肉とは
ふくらはぎひ医学的には下腿三頭筋と呼ばれています。その名前の通りふくらはぎには腓腹筋内側頭・外側頭、ヒラメ筋の3つの筋肉があります。腓腹筋は大腿骨の遠位端からかかとの骨に付着します。ヒラメ筋は下腿骨から同じくかかとの骨に付着します。この走行から、かかとをあげる足首の底屈動作に作用します。この作用を階段昇降で意識していくことがふくらはぎのトレーニングとして大切になります。
階段の昇り動作では足首の底屈を意識する
階段の昇り動作の最終相で足の底屈を用いて身体を持ち上げるようにしていきましょう。通常昇り動作では上の段に置いた脚を使用して、上の段へ身体を引き上げます。その際、使用する筋肉は上の段に置いた脚の股関節伸展筋が主体となります。その動作を下の段にある脚のふくらはぎの筋力を使用して援助していきます。これにより上の段に置いた脚の大臀筋に加え、下の段にある脚のふくらはぎの筋活動を得ることができます。
膝がぐらつかないように注意する
ふくらはぎを意識するあまり、上の段に置いた膝がぐらつかないように注意しましょう。不安定な膝関節により、ふくらはぎの筋発揮が困難になるだけでなく、膝関節を痛めてしまう可能性があります。
階段の昇り降りで太ももを鍛える方法
太ももの筋肉とは
太ももは大きく分けて前と後ろに分ける必要があります。太ももの前には大腿四頭筋があり、後ろにはハムストリングスがあります。大腿四頭筋は4つの筋肉の集合体で膝関節を伸ばす作用があります。ハムストリングスも同様に4つの筋肉の集合体で膝関節を曲げる作用を有しています。
大腿四頭筋を鍛えるには
大腿四頭筋を鍛えるために、注目すべき相は階段を降りる動作です。階段を降りる際、膝関節が曲がりすぎてしまうのを抑制するため大腿四頭筋が遠心性収縮とい収縮形態をとります。スクワット動作やランジ動作で大腿四頭筋に筋収縮が得られるのと同様の理論です。このことから階段を降りる動作時に膝関節がぐらつかないようにしっかり太ももの前の筋肉に収縮が入っているか意識することが大切です。
ハムストリングスを鍛えるには
ハムストリングスを鍛えためには、階段の昇り動作に注目する必要があります。お尻の筋肉の1つである大臀筋と同様にハムストリングスは股関節伸展作用を有します。そのため、昇り動作の上の段に置いた脚の太ももの後ろを意識しながら昇ることが大切となります。
無理に筋肉に効かせようと、重心を崩したり、身体を傾けたりしてしまうと、転倒や怪我が生じる恐れがありますので、行わないようにしましょう。
階段の昇り降り、一段飛ばし、どれが一番カロリーを消費するの
階段昇降と一段とばしの消費カロリー
体重50kgの女性が30分間階段昇降を行うことで消費カロリーは約100カロリー程度とされています。この計算は体重と階段の高さにより多少の差が生じます。階段の段差の高さが高いとよりカロリー消費が高くなります。故に一段とばしで30分間階段昇降を行うほうが消費カロリーは高くなる計算となります。
昇る動作と降りる動作では重力に抗する昇り動作のほうが、下肢筋・体幹筋の筋活動が上がりますので消費カロリーは高くなります。まとめると以下の順番で消費カロリーが高くなります。
①一段とばしの昇り動作
②一段ずつの昇り動作
③一段ずつの降りる動作
体重によりことなる消費カロリー
階段昇降における消費カロリーは体重の重さによっても異なります。体重50kgの方と体重60kgの方では、体重が重い方のほうが消費カロリーが高くなります。このことから体重の重さに比例して消費カロリーが高くなるということになります。
階段昇降の速度変化による消費カロリー
同じ30分間の階段昇降を行うのに、昇降速度が早いほうがその分昇る段数が増えますので消費カロリーは高くなります。またその分心肺機能に与える影響も大きくなります。
階段の昇り降りの段数あたりの消費カロリーの目安とは
階段1段あたりの消費カロリー
階段昇降、一段当たりの消費カロリーは昇り動作で0.1キロカロリー、降りる動作で0.05キロカロリーとされています。昇り動作では10段昇れば1キロカロリー、降りる動作では20段降りれば1キロカロリー消費することになります。降りる動作と比較して、やはり昇り動作の方がカロリー消費が高いことがわかります。
日々の運動におけるカロリー消費
階段昇降を30分行うことで消費される、約100キロカロリーの運動を日常的な運動に変換してみると、
①軽いジョギング(30分)約130キロカロリー
②ゴルフ(60分)約130キロカロリー
③水泳(20分)約120キロカロリー
④テニス(20分)約105キロカロリー
など、階段昇降では日々の運動と同様のカロリー消費が得られることがわかります。上記の運動は着替えたり、特別な場所に行かなければ行えないのに対して、階段昇降は特別な準備、環境にいかなくても、行うことができるのが大きなメリットと言えます。また日々の通勤や通学などで1週間継続すると700キロカロリーのダイエットとなりますので、気軽に始めてみてはいかがでしょうか?
まとめ
階段昇降により使われる筋肉をはじめ、下肢筋や体幹筋を中心とした階段トレーニング方法、階段昇降に伴う消費カロリーについてご紹介しました。階段は私たちの日常に多く存在しますが、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機にどうしても目が行きがちです。
運動不足を感じている方は少し体力に余裕がある日からでも良いので、階段トレーニングをはじめてみてはいかがでしょうか?継続することで辛さは減らし、効果的な日常トレーニングにしてみましょう。